小中高一貫校創設へ 猪瀬新都知事、予算化の意向

東京都の猪瀬直樹知事は産経新聞の単独インタビューに応じ、新年度予算案に公立の小中高一貫校創設に向けた経費を盛り込む意向を明らかにした。現行制度では基本的に小中学校は区市町村、高校は都道府県と分かれているが、政権与党となる自民党は衆院選公約で「平成の学制大改革」として六三三四制の見直しを掲げており、新政権の動向も見据えつつ課題検討に着手するとみられる。首都での取り組みは全国にも波及しそうだ。

 

 猪瀬氏はインタビューで都内で初めてとなる公立の小中高一貫校の必要性について「受験、受験で切れるのではなく、(子供が)ものを考えていけるような形にしなければいけない。慶応義塾のように幼稚舎から上がっていくようなものがあってもいい」と述べ、受験システムへの問題意識が根底にあるとした。

 また、「バリエーションを作り、成果を見ていかなければいけない。中高一貫校などはあるわけで、小中高もやってみようということだ」と強調。その上で、「副知事時代に財務当局に方向性は出してある」として、予算化を検討していることを明かした。

 

 中高一貫校は、石原慎太郎前知事が「既存制度にとらわれない『破壊的教育改革』につなげる議論を」として始めた有識者との懇談会「教育再生・東京円卓会議」でも議題に上り、当時、副知事として会議に参加していた猪瀬氏は一貫校実現で「実質飛び級ができる」などと語っていた。

 都立の中高一貫校は平成17年4月に最初に開校。高校での募集も行う「併設型中学校」が5校、中学と高校の過程を一体化した「中等教育学校」が5校の計10校=表=がある。

 

 都教委は「社会でリーダーとなりうる人材を育成している」としており、小石川中等教育学校が文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されるなど、各校が独自色を持った教育を展開しているが、学費は公立学校と同程度。すでに卒業生を出している学校ではいずれも東大合格者を出すなど、学力面でも充実している。

 

(2012.12.22 産経ニュース)